こんにちは!「AIいっぽラボ」の所長です。
前回は「#」や「-」といった記号を使って、AIに指示を伝える方法を検証しました。

あれから私も色々と試しているのですが、長い文章や複雑なデータをお願いすると、たまにGeminiが混乱してしまうことがあったんです。
ひつじさん分かります!『以下の文章を要約して』ってお願いしたのに、なぜか文章の続きを勝手に書き始めちゃったり…。長文になると、AIもどこを見ていいか分からなくなるんでしょうか?



そうみたいなんです。そこで、もう少し踏み込んだ方法がないか調べてみたところ…『構造化(こうぞうか)』という、なんだか凄そうなテクニックを見つけました。
今回は、一見プログラミングのように見えるけれど、実は誰でも使える「最強の指示出し術(上級編)」をシェアします。
なぜAIは長文で混乱するのか?
例えば、私たちが以下のような指示を出したとします。
悪い例
以下のメールから日時と場所を抜き出して。
お疲れ様です。次回の会議ですが、来週の金曜日に変更になりました。場所はいつもの会議室です……(以下、長文)
これだと、どこまでが「命令」でどこからが「読み取るべきメール本文」なのか、境目が曖昧です。AIはこれをひと続きの文章として読んでしまい、「命令」と「データ」を混同してしまうことがあるそうです。



人間も、問題文と回答用紙がごちゃ混ぜになってたら困るよね?
AI相手にも『ここからここまでがデータだよ!』って明確に区切ってほしいんだ。
テクニック1:最強の仕切り線「区切り文字」
そこで登場するのが、「区切り文字(デリミタ)」です。プロンプトエンジニアリングの世界では、以下の記号がよく使われます。
"""(トリプルクォート)---(ハイフン3つ)
これらで文章を挟むことで、AIに「この箱の中身はデータですよ」と教えることができます。
良い例
以下のメールから日時と場所を抜き出してください。
“”” お疲れ様です。次回の会議ですが…… (メール本文) “””



たったこれだけですが、効果は絶大でした。『”””』で囲むだけで、AIはそこを『命令』ではなく『処理対象のデータ』だと認識してくれるんです。
テクニック2:Googleが推奨する「XMLタグ」
そして、ここからが本番です。
Geminiを開発しているGoogleが推奨している、最も間違いのない指示方法。それが「XMLタグ」を使った構造化です。



えっ、XML? タグ?
なんだか急に難しそうになってきました…!



私も最初は身構えました。でも、要するに『< >』で囲んで名札を付けるだけなんです。これを使うと、複雑な仕事も機械的に処理してくれるようになりますよ!
検証:「タグ」を使った構造化プロンプト
では、実際にタグを使ったプロンプトを見てみましょう。
今回は「複雑な長文メールから必要な情報だけを抽出する」というタスクで検証します。
Geminiへの指示(プロンプト)
あなたは「データ抽出のプロ」です。
<instruction>(命令)
以下の <email> を読み込み、重要な項目を抽出して <output> に出力してください。
</instruction>
<email>(対象データ)
件名:Re: 新商品プロジェクトについて
お疲れ様です、営業部の佐藤です。
例のプロジェクトの件、キックオフミーティングの日程が決まりました。
2025年11月15日(金)の14:00から、第3会議室で行います。
当日はプロジェクターを使うので準備をお願いします。
予算は30万円以内で確定しました。
</email>
<rule>(抽出ルール)
・「日時」「場所」「予算」の3点のみを抜き出すこと。
・余計な挨拶文は含めないこと。
</rule>
<output>(出力場所)
(※AIはここに回答を出す)
</output>
これを入力すると……?
Geminiの回答
日時: 2025年11月15日(金)14:00 場所: 第3会議室 予算: 30万円以内



余計な文章が一切なくて、欲しい情報だけが綺麗に出てきました!タグで囲むと、AIが迷わなくなるんですね!



その通り! <instruction>(命令)の中に書かれたことだけを実行して、<email>(メール)の中身だけを見る。こうやって役割分担をはっきりさせるのが、構造化のメリットなんだ。
まとめ:タグは「整理整頓」の魔法
いかがでしたか?
"""でデータを囲む(区切り文字)< >で役割を明示する(XMLタグ)
一見、プログラミングコードのようで難しそうに見えますが、やっていることは「情報の整理整頓」です。
簡単な質問ならここまでする必要はありません。でも、「絶対に間違えてほしくない仕事」や「複雑なデータの処理」を任せるときは、この書き方が最強の武器になります。



私も、重要な仕事のときはこの『構造化プロンプト』をコピペして使っています。ぜひ、皆さんも一度試してみてください!




